公選職がNPOの代表?

昨日、集まりの中で「議員がNPOの代表ということは問題ないか」という話がありました。

NPOとは少々古い話で懐かしいですね。

私は1999年に初当選をしましたが、前年の1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、以後、都市部の選挙ではNPO活動をされている方が「市民派」として当選されています。
もう20年経ったのですね。

当然、当該地域のNPOは特定候補の選挙運動は出来ませんし、議員は合議機関員、審議機関員として特定の利益誘導との疑念を持たれないためにもNPOから当選された議員は役員を降り、サポーター、アドバイザー、会員として活動されるのが一般的です。

「いえ、NPOの代表が当選されたのではなく、現職議員がNPOの代表となった場合です」とのことなので、「法的に明確な制約はありませんが、一般的にあり得ないと思います」と答えました。

例えば、NPO認証基準6では「特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと」となっています。

この文言は明らかに公選職(この場合議員)が代表となることを想定していません。

公選職が代表となっていますと、NPOとして選挙活動は出来ないものの、NPOを構成されている市民の方々の大半は代表者に投票されます。実態はNPOの名を借りた「後援会」との疑念が生じます。

社会的に必要な事業、例えば子育て関連や老人介護関連を行う目的ならば、NPO代表となられた議員の選挙を意識した「戦術」は成功でも、より多くの理解を得るという「戦略」は失敗とも言えます。

この場合、市民の方を代表とし、公選職はアドバイザー、サポーター、会員として、他の多くの公選職の参加も目指すのが王道と言えます。

また、ある県の「Q&A」では、

「地方公共団体の長あるいは議員がNPO法人の役員になることについては、NPO法上では制約がありませんが、地方自治法第142条には「普通地方公共団体の長(第166条により副知事、助役も同様)は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で、政令で定めるものを除く)の無限責任社員、取締役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができません」とされています。
また、同法第92条の2では「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができません」とされています。
したがって、地方公共団体の長あるいは議員が役員に加わっているNPO法人に、その地方公共団体から事業を受託したり補助金を受けたりする場合、この法律に抵触する恐れがあります。」
とされています。
もし「請負」を想定しないならばNPO法人にする必要性があるのかとの疑問も生じます。

もう一つ気になるのはNPOの設立目的は大概「団体・個人に対して、運営上の支援や補助を行う」とされます。代表が議員の場合、支援や補助がお金であると、禁じられている寄付(迂回寄付)との疑念を持たれる可能性もあります。

いずれにしても公選職が代表の場合は市民や行政からの監視対象となるのではないでしょうか。

ちょっと長くなりました。冒頭、私が「法的に明確な制約はありませんが、一般的にあり得ないと思います」と答えた理由です。

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