またまた政務活動費問題

今朝の朝日新聞の記事には驚きました。(少し長くなります)

富山市議会における政務活動費不正問題です。

ここでは、政務活動費とは何か、地方議員報酬とは何かという基本的なことは述べません。

私が驚いたことは次の2点です。

まず、ことの発端となった元議長の発言によると不正を始めたのは2011年とのことです。2004年ごろに不正の手口を教わったにも関わらず不正に手を出したのは5年前からということになります。逆の意味では5年前まで善良?な議員であった可能性もあります。

5年前というと、それ以前から政務調査費(今の政務活動費)問題で全国の市民オンブズマン等が訴訟を起こし多くの判例が確定し、また一昨年、兵庫県議の号泣会見以降、この問題にはおおよその方向性として決着がついたように感じていました。

そして先進議会ではすでに議会基本条例を制定し、政務調査費(今の政務活動費)の使途基準の明確化等、「見える化対策」が打たれているときです。その真っ最中に行われた不正ということに驚くとともに、それ以前の使い方に問題はなかったのかと疑問に思います。

そしてその疑問に答えるかのような2点目の驚きの動機です。

国会議員に続き地方議員年金が廃止され「老後に不安を感じたため」だそうです。2011年6月1日に地方議員年金は廃止となりましたので犯罪に手を染めた元議長の話の辻褄は合います。

しかし、巷ある生活保護の不正受給問題と違い、選挙で選ばれ特別職非常勤職員である地方議員にこの言い訳は通用しません。

ただ、・・・現在の地方議員がおかれている立場は、昔のような「名誉職」ではなくなり、特に2000年の地方自治法改正以降、当然のことながら「議員としての仕事」が求められています。

同時に現在の議員の処遇は一般の人が通過できない「選挙制度」の壁があり、その壁を人として最大のエネルギーを使い幸運に突破しても年金ナシ、退職金ナシ、失業保険ナシ、各種手当ナシ、福利厚生ほぼナシという「4年契約の派遣社員」と変わりません。

議員になられた方は別途収入がない限り税引き後収入のみで各種活動と生活設計を行う必要があります。

地方議員職だけで生計を立てられる方は毎月の報酬、年2回の期末手当、そして政務活動費の三つです。(僅かなので費用弁償は除きます)

ところが「政務活動費」だけは使い道が法で定められ、使途基準で縛られているため、この部分の一部議員による不正流用(領収書の偽造等)が絶えないわけです。

また「報酬」そのものも非常勤職には仕事の内容が明確であるべきにもかかわらず、議員の仕事は議会活動、議員活動、政治活動、選挙応援活動、選挙事前活動等が混然一体となっているのが現状で「議員の仕事と報酬論議」そのものが決着を見ていません。

私は地方議員の「仕事と報酬の考え方」と現行法制度との矛盾が表面化しているのが現状だと思っています。

今、解決できるのは地方議員にも「非常勤」ではなく「公選職」という職種を設け「報酬」を「歳費」とすることによって現行法制度(地方自治法)と整合できるようにした方が良いように感じているところです。

政務活動費を巡る事件を見るにつけ、本来は2000年の自治法改正と同時に行うべきであったように思います。

現在の地方議員の年収は都市部と地方では大きな差が生じており、地方では議員選挙が無投票となる割合が2割を超すなど有権者の感覚と地方議員の仕事とのギャップ(矛盾)が激化してきています。

セミナーをさせていただいて強く感じるのは、各自治体議会においても、真面目で斬新な議会とボンクラな議会とのギャップが増しています。

このあたりで一定整理(法整備)をつけてほしいところです。
そして有権者の皆様も本当の議員を選んであげてください。

参考:今朝(19日)の朝日新聞デジタル版でも見られます

高橋 伸介さんの写真
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