ドキュメント供託 2005年12月16日から21日までの出来事   2005.12.22


議員の期末手当20%加算分を違法ととらえ、会派・ひらかた市民会議(現・改革市民会議)の3名が各自の期末手当の20%加算分を供託受理されるにいたるまでのドキュメントです。
2002年9月の一般質問で初めてこの件を指摘して以来、「議会の事は議会で解決」の思いで3年が過ぎました。しかし残念ながら議会合意が得られず、05年8月には住民から返還請求の訴訟もあったことから、万策尽き、やむを得ず法務局へ供託することとなりました。
以下は2005年11月22日議会事務局長への議員期末手当20%加算に関する申し入れ書以後の内容です。


2005年12月9日、議員の期末手当が例年通り支給されたが、申し入れ書の内容を無視され、全額、口座へ振り込まれた。議会中であったので、そのままとなっていたが、12月16日、午後より、会派3名で大阪法務局へ20%加算分を供託に行く事となった。

2005年12月16日

午後12時35分   議員研修後、枚方市駅へ向かう。

午後1時       京阪天満橋着 昼食をとる。

午後1時25分   法務局近くの司法書士事務所で簡単に相談後、大阪法務局2階へ向かう。

午後1時40分   まず相談コーナーで、係りの方と一連の内容を説明し、供託したい旨を伝えるが「大阪は費用弁償などでよく議員が供託に来られるが、条例があれば不当利得に当たらず、この種は全て受理していない」と、問答続く。

午後2時22分   法規係長と代わる。なかなかのやり手。こちら、ウーム・・・状態が続くものの徐々に「法務局」とは、が分かりつつあり、法務局の思考パターンが理解できた。相手が分かると対応も出来る

午後2時50分   今回の供託理由書(下記プロトタイプ)ではムリと判断し引き上げる。
            (その後、下記の通り12月21に受理される)


受理されなかった供託理由書が下記の別紙(プロトタイプ)である。赤字はコメントで文書にはありません。
供託 別紙(プロトタイプ)

被供託者(市長)から供託者(自分)に対し、平成17年12月9日付けで期末手当として支払われた、金1898880円の内、金323360円(20%加算分)は法律上の疑義があり、また、同趣旨の20%加算分について現在係争中である。
平成17年11月22日に、金323360円(20%加算分)の加算不要の申し立てを議会事務局長宛に対して行ったが、平成17年12月9日に加算分を含む全額の期末手当支給が執行されたので20%加算分である、金323360円を供託する。

※池上典子議員と伏見議員は金1846440円の内、金314430円(20%加算分)となります。
上記、プロトタイプの問題点は、「法律上の疑義があり」「現在係争中である」、この言葉が法務局として受理できない理由となった。即ち、法務局としては、まがりなりにも議会において条例が制定され、その条例に従って支出され、受け取ったものは「不当利得」とはいえないとの見解であった・・・・・・なるほど。
そこで我々3人は、議会に戻り、供託理由を時間をかけて他の事例も調査をしなおし、弁護士や司法書士などと相談し、以下の供託理由を作成したのが、別紙1から別紙5である。
その日のうちに別紙1は池上案、別紙2は高橋案、で協議。
19日に再度、会派会議を開き検討。
16日の法務局とのやり取りから、供託理由に争点を記すことは、受理されないことがわかったものの、3年に渡る議会でのやり取りもどうしても載せたいとの意見があったため、5種類に渡るパターンとなったが、受理されるためには、法務局の思考パターンに合せる必要もあるため、別紙2が最も成果が得られる文体となると思われた。
そこで、
最終的には別紙5でまず申請し、だめなときは別紙2で再度申請する作戦を立てた。

12月21日の供託受理当日の様子については「日記」もご参考にしていただいて、後日、市政報告会で赤裸々に語ります。ご期待下さい。


供託受理テクニック

以下、供託受理に至る現物写真資料と実務を記しておきます。これだけでも供託の意志をお持ちの方々の参考になると思います。
ご健闘を祈ります。

供託理由 別紙1(池上案 シンプルに不要の申し立てを記す)

被供託者から、供託者に対し、平成17年12月9日に支払われる期末手当支給(金1898880円)に20%役職加算分の金323360円が含まれることが、同年12月9日に判明した。
この、金323360円は受け取るべきでないので、11月22日に、金323360円の加算不要の申し立てを議会事務局長宛てに対し行なったが、平成17年12月9日に加算分を含む期末手当支給が執行された。
よって加算分である、金323360円を供託する。
供託理由 別紙2(高橋案 行為の事実のみ、旧ソ連戦闘機のようなシンプルさ)

被供託者から供託者に対し、平成17年12月9日に期末手当として支払われ、受け取った、金1898880円のうち、金323360円について、供託者として、平成17年12月9日に受け取る事が出来ない事が判明したので、被供託者に対して平成17年12月20日に提供したが受領を拒否されたので供託する。

供託理由 別紙3(会派検討案・違法性を指摘)

枚方市議会議員に対する期末手当に、役職加算として20%に当たる額が加算されているが、これは地方自治法第204条の2に反しており違法である。
平成17年12月9日に、被供託者から供託者に対して支払われた期末手当(金1898880円)に役職加算に当たる金323360円が含まれていることが判明したので、受け取る事ができないため供託する。

供託理由 別紙4(会派検討案・これは裁判の補助参加理由を記した自己満足案)

1、枚方市では、非常勤である議員に対し年2回、期末手当いわゆるボーナスが支払われている。期末手当の支給については、地方自治法にその根拠があり合法である。(同法第203条第4項)
しかしながら、現在支給されている議員の期末手当は「期末手当本給」と「20%の加算分」が合算されたものである。20%の加算分は「役職加算」とされているが、まぎれもない役職手当である。地方自治法は、非常勤職員である議員に対し期末手当以外の手当てを一切認めていない。                      (同法第204条の2)
よって、20%の役職加算(役職手当)を定めた条例自体が脱法行為であり、その条例に基づいて支給される「20%の加算分(役職手当)」については違法支出である。

2、議会においても、数年前から幾度も議長、その他議会内会議に会派として是正の提案をし、各種委員会等においても指摘をしてきたが、具体的な改善の見通しが一向に示されない現状である。

3、しかしながら上記理由に基づいて議員個人が、当該報酬の受け取りを拒否することは公職選挙法上の寄付行為に当たるので不可能であり、供託もその抜本的な解決とはなりえない。また、議会は条例の改正権を持つが、行政側の「違法性はない」との議員に対する説明により、条例改正に必要な過半数の賛成を得ることは不可能である。

4、直接選挙で選ばれる地方自治体の首長は巨大な権限を有する。その行政執行に対し独立した審議機関として、市民合意を与える(与えない)という、もう一方の権限を担うのが議会である。違法性のある手当ての収受により行政と議会が「やましさの共有」をする中で、行政からの独立性と中立性を欠き、議会の審議機関としての権能自体が崩壊する恐れがある。

5、補助参加申し出人は、いずれも枚方市議会議員であり、本件訴訟の対象となっている期末手当のうちの「20%の加算分(役職手当)」の支給を受ける立場にあるが、加算分は違法であり、補助参加申し出人は違法な支給を受けるわけにはいかない。
 本件訴訟において、原告の主張のとおり、加算分の違法性が認められれば、違法な金員の受領を受けずに済むが、万一、原告の主張が認められないときは、補助参加申し出人は、違法な支給に対して受領拒否あるいは供託などの法的行為をせざるを得ない立場にある。このように、補助参加申し出人は、訴訟結果について利害関係があり、補助参加をする利益、必要性を有する。 
                          
供託理由 別紙 5(伏見案 池上案と高橋案のハイブリット)

枚方市では、非常勤職員である議員に対し年2回、期末手当が支払われている。期末手当の支給については、地方自治法にその根拠があり合法である。                                 
(同法203条第4項)
一方、現在支給されている議員の期末手当は「期末手当本給」と「20%の加算分」が合算されたものである。20%の加算分は「役職加算」とされているが、まぎれもない役職手当である。地方自治法は、非常勤職員である議員に対し期末手当以外の手当てを一切認めていない。 (同法204条の2)
よって、20%の役職加算(役職手当)を定めた条例自体が脱法行為であり、その条例に基づいて支給される「20%の加算分(役職手当)については違法支出である。
被供託者から供託者に対し、平成17年12月9日に期末手当として支払われ、受け取った、金1898880円のうち、金323360円について、供託者として、平成17年12月9日に受け取る事が出来ない事が判明したので、被供託者に対して平成17年12月20日に提供したが受領を拒否されたので供託する。



結果

これが受理された供託書の現物の写真です。以外とシンプルでしょう?供託理由は、別紙といたしました。


これが
供託理由の内容です。最終的には別紙2(高橋案)を用い、受理されました。おまけに供託が受理された12月21日までの利息までついちゃいました(笑)・・・とほほ。
尚、池上典子議員と伏見議員の金額はプロトタイプで示した
の金額に遅延損害金(利息)を足した金額で供託受理されました。

重要:
プロトタイプから別紙5まで読まれていると、こんな供託理由でいいのかな?と、思われる方も多いと思います。例えば、「受け取ることが出来ない事が判明した」となっていますが、これで何の事かわかります?? わからないですよね。 でも、法務局の書式としては間違いがないんです。法務局では調査権がないため、書式さえ整っていれば内容を問われることがなく、即ち、却下理由がないんです。正に法務局は裁判所と違い内容はともかく、理由ではなく書式の世界なんだと思いました。

みなさん、供託に行かれるときは一度断られたからといって決してあきらめてはなりません。恋愛のようなものです。諦めず、がんばりましょう。必ず供託できます。

実務:大阪法務局の供託は2階で受け付けています。供託用紙はそこでもらえます。ハンコも要りませんが一応持っていってください。あと、供託金と80円切手と封筒1枚だけです。供託費用は要りません。ただ、供託しなければならない日から供託日にズレがあると遅延損害金(利息)を取られますのでご注意を!!また、供託理由を別紙としてA4などにした場合、それを供託用紙に貼り付けることになります(今回は縮小貼り付けしました)。文具用具は相談窓口でお借りできますが窓口の方に礼を尽くすように。初心貫徹のこと。ご健闘を祈ります。