高橋しんすけ議員報告 HOMEデータバンク狂牛病について


狂牛病について COW

大阪府教育委員会大阪府流通対策室 虎谷卓哉(獣医師)

2001.9.25



  発生経過

◆8月6日  千葉県の酪農家で乳牛1頭が神経症状
         千葉県家畜共済診療所が診療
         予後不良と診断、食肉処理場へ
         病畜扱いで食肉衛生検査書が検査
         全廃棄

◆ 8月15日    プリオニクステスト陰性
            千葉県家畜保険衛生所で病理検査

◆ 9月10日    動物衛生研究所で陽性所見
            擬似患畜発生の報道発表

◆ 9月22日    英国獣医学研究所にて狂牛病と診断


  牛海綿状脳症(狂牛病)の原因と症状

◆ 原因 

  異常プリオンを摂取、リンパを介し脳脊髄へ到着
  脳内正常プリオン蛋白が以上プリオン蛋白となり組織が萎縮して空胞化、スポンジ状となる

◆ 症状

  2〜8年の潜伏期後、運動失調、起立不能等神経症状を呈し発症後2週間〜6ヶ月で死亡

 


  プリオンタンパク質の重合

異常プリオン  異常プリオン 正常プリオン
 

異常プリオンがぶつかると正常プリオンも変形されていく

 

  プリオン病

◆ 人  クロイツフェルト・ヤコブ病
      新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
      クールー病
      ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病
      致死性家族性不眠症

◆ 牛  牛海綿状脳症(狂牛病)

◆ 羊  スクレイピー

◆ 他  ネコ、ピューマ、チータ、オセロット、ミンク、シカ、エルク


  狂牛病と新変異ヤコブ病との関連

◆ クロイツフェルト・ヤコブ病

 自然発生する(低確率でプリオン変異が起こる)。
 ヒト由来性異常プリオンによって伝播(医療事故などによる)。
 日常生活では伝播しない。母子感染しない。遺伝しない。
 正常プリオンを多く持つヒトが以上プリオンに感受性高い。
 狂牛病とは無関係。

◆ 新変異クロイツフェルト・ヤコブ病

 若齢で発症のヤコブ病様患者のうち、狂牛病と病変が似ているものがあった。牛由来異常プリオンが検出されていない等、直接的根拠がないにもかかわらず、「1989年以前に英国で狂牛病の内臓を食べた事に関係している」と英国諮問委員会が発表。


 感染牛の異常プリオン存在部位
感染牛の異常プリオン存在部位
■ 自然感染では脳、脊髄、網膜のみ
□ 実験感染では他に回腸遠位端
□ 検出されていないがリンパ、脾臓等も可能性はある

 


  乳汁中にプリオンが含まれない理由

 

◆ 乳汁は乳腺細胞が分泌する細胞成分である

◆ 乳腺組織には正常プリオンも存在していない

 


  牛乳・乳製品は安全である

 

◆ 乳汁からプリオンは検出されていない

◆ WHO、OIEの基準からも規制対象とはなっておらず、安全宣言されている

  (国際基準であり、規制している国はない)

 


  我が国が行ってきた対策1.(輸入検疫)

◆ 生きた牛  英国 1990〜輸入禁止
発生国 確認された時点で輸入禁止
EU 2001.1〜発生無くても輸入禁止
◆ 牛肉内臓 英国 1951〜輸入禁止(口蹄疫による)
発生国 危険部位除去を条件
2001.1〜 全面輸入禁止
◆ 牛加工品 英国 1996〜輸入禁止
発生国 2001.1〜輸入禁止
◆ 肉骨粉 英国 1996〜輸入禁止
発生国 133℃20分加工を条件
2001.1〜全面輸入禁止
◆ 医薬品等 英国原産  1996〜輸入禁止
発生国原産 2000.12〜輸入禁止

  我が国が行ってきた対策2.(国内防疫)

 

◆ 生産者段階  1996〜肉骨粉の使用規制(行政指導)
            1996〜家畜伝染病予防法で指定
                 家畜保健衛生所による検査
                 24ヶ月以上の有症牛を病性鑑定

◆ 食肉処理段階  1996〜食肉衛生検査書による検査
                   家畜保健衛生所と同様の措置

 


  今回実施された主な措置

◆ 輸入検疫    輸入停止措置国の拡大

◆ 生産者段階   全飼養農家・牛の一斉検査実施
             牛用飼料に肉骨粉使用禁止

◆ 食肉処理段階  健康牛も全頭検査(30月齢伊塲

 


 流通対策室における、市町村、関係団体等からの質問と回答内容

Q1

・牛乳乳製品が安全か

・牛乳工場では狂牛病対策をやっているのか

・千葉県から生乳は入ってないのか

・学乳はこのまま続けて大丈夫か

・学乳を中止したところがあると聞いたがそれは何故か


A1

1.乳汁からはプリオンが検出されていない。

2.WHO、OIE(国際獣疫事務局)の基準でも規制や検査の対象とはなっておらず、国際的にも安全性が認められている。英国や欧州でも規制されていない。

3.乳汁は乳腺細胞が生産し分泌する細胞成分であり、プリオンが進入する余地はない。また、もともと乳腺には正常プリオンも存在しない。

以上から、牛乳乳製品は安全であり、患畜発生に対しても、牛乳・乳製品に関しては何ら措置は不要である。

府下に乳業工場で千葉県から原乳を搬乳しているところはないが、そもそもそれを問題にする必要もない。また、千葉県の該当農場のある市で学乳を一時中止していたが、これは、保護者が気持ち悪がってやむを得ず止めたもので科学的根拠のない不必要な措置であった。現在は保護者に情報が浸透し学乳は再開している。


Q2

・牛肉は安全か

・給食の中で危険な食材はないのか

・スープ、肉エキス、ミンチ、ラーメン等は大丈夫なのか

 


A2

1.狂牛病の異常プリオンがヒトの新異形クロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こすかどうかについては直接的証拠が出ていない。

しかし、念のため、国際的な基準に従って我が国も輸入禁止措置や国内の検査体制の整備を行ってきた。

2.牛は農家段階では家畜保健衛生所が、と畜場では食肉衛生検査所が全頭、狂牛病に限らず、必要な検査を行って、病牛の食肉が出回らないようにしている。

3.英国、欧州の狂牛病発症牛において、脳脊髄網膜以外からは異常プリオンは検出されていない。

4.OIEでは、通常食べられていない脳、脊髄、目、回腸遠位端以外の一般に流通している牛肉は安全としている。また、牛脂、蛋白を含まないカルシウム、皮由来のゼラチン、コラーゲンも異常プリオンは含まれないとしている。

5.異常プリオンは通常の調理では不活性化されないが、強酸、強アルカリに一定時間さらすことや133度20分3気圧で不活性化できる。

 

以上から、通常流通している牛肉については安全であるといえる。

その他の食材については、念のため、原料にどの部位が用いられ、どのような加工をしたのかを製造元に確認しておく必要はある。

仮に狂牛病の牛のものが混入していれば、脳脊髄目はもちろん、内臓や骨(テールスープなど)も危険性があると考えられる。


なお、枚方市PTA協議会のホームページが狂牛病について充実しています。そこから給食委員会のページに行くと、リンクも充実しています。

 

ガイドへ戻る ガイドへ戻る

HOMEデータバンク狂牛病について