平成26年1月29日全員協議会   1 高橋 伸介 議員   質疑(一問一答)


(1)前市長の退職手当の返納に係る枚方市退職手当審査会の答申について



1.「談合問題にかかる総括」から審査会答申に至るまでの経過について

質問(1回目)
お早うございます。時間の関係もありますので早速質疑に入ります。

その前に総務部に通告しました5番「判決文中の「メトロ会談」と審査会答申について」及び、6番「退職金全部返納と一部返納について」は、ここでは時間の関係で割愛させていただき鍜治谷議員の方から質問をさせていただきます。

まず始めに、昨年の12月議会最終日に行われました全員協議会におきまして、前市長の退職手当の返納に係る審査会の答申内容について、竹内市長から説明がありました。私は、この答申を何度も読み返し、強い違和感を抱きました。

それはかねてから私が指摘しておりますが、昨年の5月議会の初日に行われました全員協議会において、市長から説明のあった「総括文」そのものが不十分であったことに原因があると考えています。不十分な総括から出発した審査会への諮問ですから、答申が不十分であるのは当然のことです。

この「総括」が判決内容を要約しただけで、裁判の争点や前市長が最高裁まで一貫して無罪を主張してこられた経緯、収賄や物証がない中での異例な逮捕、起訴であることがまったく記載されていないことは、昨年の6月議会で指摘いたしました。

市は、判決が確定した中にあっては、裁判で認定された事項に基づいて記載することが適切であると答弁され、この考え方に基づいて審査会への諮問がなされております。
審査会も答申書14ページで、「本審査会は、退職手当返納の要件に該当するかどうかを判断すれば足り、刑事事件の判断内容自体の当否を判断する必要はないと考える」と述べていますが、条例の適用の有無を判断するなら、判決は有罪なのですから、こんな簡単なことはありません。
しかし、問題はそうではありません。本市を舞台とされた異例の事件という認識が市の姿勢から感じることが出来ません。

収賄(しゅうわい)も大林組からの供応等も立証がなされてないなかで、前市長は公判において一貫して無罪を主張し、再審請求までしようとしておられる中、実に不思議な、一方的な答申内容となりました。

審査会は判決結果をもって条例適用が適正であるとして、前市長に退職手当の返納を命ずることが相当であると答申しています。本当にそれでいいんでしょうか。

例えば、答申16ページには「支給してから長期間が経過している場合には支給された退職手当が生活の基盤として使われてしまっており、返納を求めるかどうかについては財務状況だけではなくて、実際に返納を求めることにより、返納を命じられた者の生活が破壊されるといったことについて配慮することには一定の合理性がある」とも記載されています。にもかかわらず、二期分の全額、約5000万円の返納を命じることが相当と判断されました。
前市長には当時の検察の調べでも明らかなように、すでに財産がありません。審査会はそこまで確認されているのかお尋ねします。

答弁(1回目) 総務部長
 審査会におきましては、退職手当を「返納させることができる」規定に関して、裁量を働かせる余地について審議をされたところですが、結論としましては、条例に基づく退職手当の返納の適否を判断するにあたっては、個別、具体にかかる前市長の資産確認までは要しないとされたものです。


質問(2回目)
 「生活が破壊されるといったことについて配慮することは一定の合理性がある」としながら、前市長の資産確認まで要しないと判断されることはどのような理由なのでしょうか。今後、前市長の財務状態について調査をされる予定はあるのかお尋ねします。

答弁(2回目)
 審査会におきましては、前市長は2期分の退職手当を平成15年5月に受領し、第3期分の退職手当を平成19年5月に受領しており、相当期間経過している状況があるとするも、この間、前市長は最高裁判所まで争った期間が含まれていることを考えると裁量を働かせる状況とまではいえないと判断され、資産調査するには至らなかったものであり、資産調査については予定しておりません。


質問(3回目)
 前市長の資産調査などは行わず、表面的な事象だけをとらまえて、淡々と業務を行っている、ここまでの答弁では、そのように感じられます。

行政はいうまでもなく、福祉や教育、人権問題も担っています。前市長は最高裁まで無罪を主張し、再審を請求しようとしています。冤罪の可能性が極めて高い事案について、人権尊重都市宣言を掲げる枚方市として、少なくとも今、とるべき対応ではないと考えますが、この点についてお考えをお聞きします。

答弁(3回目) 総務部長
 権利義務関係を確定するにあたりましては、法令に基づき適正に進めることが行政の役割であると考えます。今回の事件につきましては、地裁、高裁、最高裁での審議を経て判決が確定していることから、その確定判決に基づく対処が前提であり、その上で退職手当の返納を求めるにあたっては、本市条例に定める手続きに沿って進めることが適正であると考えます。


2.審査会の運営について
質問(4回目)
見事に木で鼻をくくる答弁をいただいたのですが、事件の中身に極力触れないようにする姿勢が感じられます。先ほどの答申書の趣旨からもズレを感じます。ならば直ちに行政庁として「人権尊重都市宣言」は下ろしていただきたい。強く要望いたします。

時間の関係もありますので、次に移りたいと思います。

退職手当審査会の運営内容についてですが、まず委員の選考についてお尋ねします。

審査会の委員は弁護士、大学関係者、税理士で構成されていますが、その選考については、前市長から平成25年7月22日に意見書が市長に提出されており、その中で「枚方市と利害関係のない公平・中立な第三者で構成されるよう、配慮してください。」とされ、日本弁護士連合会、大阪弁護士会、あるいは東京弁護士会などに依頼するよう求めておられます。
この意見書の内容は、委員選考においてどのように反映されたのでしょうか。

答弁(4回目) 総務部長
 退職手当審査会の委員については、「枚方市附属機関条例」の規定により、定員を5人以内とし、「公正な職務の執行の確保及び倫理の保持に関して高い識見を有し、公正な判断をすることが出来る者」等から委嘱を行うこととしており、庁内における審議会等委員構成協議を踏まえ、法的見地から専門意見を聞くために弁護士2名、行政法又は労働法分野の専門意見を聞くために学識経験を有する者2名、会計・税務分野の専門家から専門的知見に基づく意見を聞くため税理士1名を選任したものでございます。

弁護士については、特別職報酬等審議会委員長や公平委員会委員長をお願いしている方を、学識経験者については、行政法等を専攻されている大学教授等の中から、不当行為調査等委員会委員をお願いしている方や、本市と人材育成に係る協定を締結している大学の准教授の方を、税理士については近畿税理士会枚方支部から推薦いただいた方に決定したものでございます。なお、委員の委嘱は平成25年7月29日でございます。

質問(5回目)
委員の委嘱は、条例に基づいて適正に行っている、また、意見書が市に届いた時には、すでに委員の選考手続きが終わっていたという答弁です。

市の附属機関の委員を選考するということからすれば、それで足りうるのかもしれませんが、一個人の不利益処分を審査する機関の委員を、処分する側の理屈で選考することには不公平感をぬぐえません。

5名の委員の中には市から報酬を得ている利害関係者3名もおられます。また、税理士1名の方も地元枚方で、市とは協働関係にある方ではないですか。これはどのように考えても理解できません。入札に市と利害関係者がある人が入りこんでいるようなものです。

前市長がいう「枚方市と利害関係のない公平・中立な第三者」による審査会を別に設置し、改めて諮問・答申を行なうことが必要と考えますが、これは意見としておきます。

答申書によりますと、審査会は平成25年7月29日から同年11月7日の間で、5回の審議を行っておられます。後半の審査会は非公開であったと聞いています。

前市長からは、審査会を非公開とせず、公開で開催するようにとの要望書が提出されていたと記憶しております。審査会の公開・非公開の状況と、非公開として取り扱われた理由についてお聞きします。また、非公開となった時間の内訳についてもお示しください。

答弁(5回目) 総務部長
審査会の公開・非公開につきましては、枚方市附属機関条例第6条の規定に基づき、原則公開として運営されておりましたが、審査会において答申の結論部分なり、裁量の有無や基準について審議するにあたり、委員相互の闊達な意見交換を保障する必要性から、同条例第6条第1項第2号の規定により、第4回、第5回の審査会については、一部非公開として運営されたものです。

なお、非公開とされた部分は、第4回審査会では、審査会の約3分の2、第5回審査会では、会議冒頭の出席者数確認を行った以降から非公開となっております。


3.退職手当返納に関する根拠条例と審査会における条例上の判断について

質問(6回目)
 今のご答弁では理解不能です。前市長がご自分のプライバシーを棚上げされても全部公開を望まれたのは公平な判断が為されて欲しいという思いからです。闊達な意見交換が阻害される恐れは全くなく、重要部分を隠されたことは理解ができません。

次に行きます。退職手当返納に関する根拠条例についてですが、要するにどの条例のどの条文を根拠に返納を命じるのかという点について、枚方市と前市長が双方に主張され、審査会がそれぞれに見解を示しておられます。

答申書の論点1の部分ですが、条例の適用関係が複雑で分かりにくいですし、例えば、市と審査会の見解ですが、市が審査会に提出した諮問書を見ますと、市長等の退職手当に関する条例第6条を根拠として諮問されていますが、審査会の答申では異なった見解が示されています。
まずは、この三者の主張の相違点を簡単に説明していただけますか。

答弁(6回目) 総務部長
本市が返納を求める根拠としたものとして、4つの条例の規定を示しております。

まず1つ目は平成7年6月に制定した「市長等の退職手当に関する条例第4条」です。この条例は、それまで一般職と同じ条例で規定していた特別職の退職手当について、その計算方法を一般職とは区分して新たに規定するために制定した条例で、第4条において退職手当の支給方法を一般職の例による、つまり準用する規定であることから、市長等の特別職の退職手当の返納についてもこの規定の適用を受けるとしたものです。

2つ目は平成19年8月に制定した「市長の給与及び退職手当に関する特別措置条例第3条」で、この規定はそれまで準用により適用していた特別職の退職手当の返納規定を明文化したものです。

3つ目は平成19年12月の「市長等の退職手当に関する条例第6条」で、これは2つ目に申し上げました特別措置条例の規定で明文化した返納規定を、本来の市長等の退職手当に関する条例に溶け込ませた改正条例の規定です。

4つ目は平成19年12月の「市長等の給与に関する条例等の一部を改正する条例附則第2条第2項」で、これは特別措置条例の廃止を受けて従前より特別措置条例の適用を受けていたものについても、引き続き効力を有するとした規定です。つまり、前市長の2期目以降にかかる退職手当の返納にかかる根拠条例について、時系列的に列挙したものでございます。

一方、前市長は、平成19年8月に制定された特別措置条例、また、同年12月に改正された市長等の退職手当に関する条例第6条を適用することは不利益不遡及に当たるということ、平成7年6月に制定された市長等の退職手当に関する条例第4条の準用は手続き的な規定にとどまり、返納規定にまでは及ばないということ、さらに市長の退職手当は平成7年6月以前に議会の議決を経て市長に支給されていた、いわゆる特別退職手当を条例化したものであり、これに対しては従前から返納規定がなかったことから、そもそも返納規定が適用されないという主張をされました。

審査会では、条例の適用については、犯罪として問題となりうる行為があった時期が、平成11年12月末から平成17年11月10日までの間であり、この間に効力を有した条例、すなわち平成7年に制定した「市長等の退職手当に関する条例」を本件に適用すべきであり、特別措置条例等を遡及適用する余地はないとされました。

市長の退職手当の支給方法は、「一般職の職員の例による」といった点につきましては、平成7年以前には枚方市職員の退職手当に関する条例の中に、職員と同様に特別職についても退職手当の返納規定があったことを踏まえると、単に手続き的な事項のみを規定しているとは判断できず、返納規定の適用はあるとされました。

また、「特別退職手当」を条例化したとの主張については、平成7年時の市長等の退職手当の算定方法は、特別退職手当とは異なる性格のものであり、「特別退職手当」を条例化したものとみることはできない、とされました。

以上を総括して、本件の根拠規定は、平成7年の市長等の退職手当に関する条例第4条が準用する「枚方市職員の退職手当に関する条例第12条の3と判断されたものです。



質問(7回目)
 部長、今ね「平成7年以前には枚方市職員の退職手当に関する条例の中に、職員と同様に特別職についても退職手当の返納規定があった」と答弁されました。
大塩市長の時には「一般退職手当」と「特別退職手当」が別々にあって、退職金の大半の金額となる特別退職手当には返納規定はなかったじゃないですか。だから平成19年に返納規定を明文化したのではないですか。以前に資料いただきましたよ。

次に行きます。審査会は平成11年から17年の間に有効であった2つの条例を適用すべきと答申しているのに対し、市は審査会への諮問の際に、適用時期の異なる4つの条例を根拠規定として挙げておられます。
同じ退職手当の返納事案に対して、市と審査会の解釈がズレているように見えるのですが、この点について見解をお聞きします。

答弁(7回目) 総務部長
 本市としましては、返納に係る根拠規定としましては、裁判の中で談合に関して「天の声」を発したと認定されました「メトロ会談」の時期、つまり平成11年時点において効力を有している条例から、現行の規定に改正してきた経緯を踏まえたものとして、複数の条例規定を提示したものです。
審査会においては、犯罪として問題となりうる行為があった時期に有効であった条例を、直接、適用すべきであるとされたものであり、根拠規定に関して認識の相違はないものと考えております。


質問(8回目)
 やはり納得できませんね。まるで出来の悪いパッチワークのようにムリを重ねて返納を求めているように見えます。この件で私が納得できる条例は返納について明記されている平成19年に施行された条例だけです。
市と審査会の認識に相違はないとの答弁ですが、市は4つの条例を根拠規定としており、退職手当審査会では2つの条例を根拠としているわけです。結局のところ、市は根拠規定についてどのように考えているのか、再度お聞きします。

答弁(8回目) (総務部長)
直接の根拠規定といたしましては、審査会が示す平成7年の「市長等の退職手当に関する条例第4条」が準用する「枚方市職員の退職手当に関する条例第12条の3」が返納根拠にあたるものと考えます。


(意見)
明確な答弁とは感じられません。解釈でいろんな考え方があるということは、それ自体イレギュラーなことですし、全国的にも例がないことではないかと思います。そういった事を考えても、今回の返納請求については、もっと慎重に対処すべきであると、これは意見としておきます。
先ほど答弁された「天の声」と「メトロ会談」については鍜治谷議員から質問していただきます。

4.「できる」規定における平成25年6月議会答弁と審査会判断の相違について

質問(9回目)
昨年6月議会の答弁では、「できる」規定の解釈について、かなりやり取りをさせていただきました。その時の市の答弁は、「裁量権を付与する規定ではなく、市長等の任命権者に対してその権能を付与する規定と解する」とされ、「市長としては、退職手当の返納の行使に関する権能が与えられている以上、その権能を行使することが適切である」と答弁されています。

ところが審査会の答申では、「一切の裁量を排除すべきであると解釈することはできない」として、市が議会に対して示した見解とは異なる判断を示しておられます。この点について、市としてどのように考えておられますか。

答弁(9回目) 総務部長
国家公務員退職手当法においては、「在職期間中の行為に係る刑事事件に関し禁錮以上の刑に処せられたときは、その支給をした一般の退職手当等の全部又は一部を返納させることができる。」と規定し、また、「返納させるべき退職手当の額の範囲、返納の手続その他返納に関し必要な事項は、政令で定める。」と規定していました。

この法律規定の委任を受けた施行令には、返納させるべき退職手当の額の範囲について、「失業者の退職手当に相当する額がある場合は支給した退職手当の額からその額を控除した額を、それ以外の場合には支給した退職手当の全額を返納」と規定されたところです。
本市では、この国家公務員退職手当法の規定と施行令の規定とをあわせて一本の形で、条例規定として定めました。
審査会においては、元来、国家公務員退職手当法に、一部返納規定が設けられている趣旨に着目されて、本市条例の解釈として、「原則は全額返還とすべきものであるとしても、一切の裁量を排除すべきでない」との解釈をすべきと判断されたものです。

質問(9回目―2)
 今、説明にありましたように、「原則は全額返還とすべきものであるとしても、一切の裁量を排除すべきでない」と審査会では判断されておられますが、市としては、裁量権についてどのように考えているのかお聞きします。

答弁(9回目―2) (総務部長)
 退職手当審査会での裁量に関する審議内容、結論について尊重する立場でございます。


質問(10回目)
答申では、退職手当の返納規定について、原則は全額返納であるものの、一定の裁量が存在すると認めつつ、立法趣旨を踏まえた合理的客観的な基準に基づき判断すべきとされ、また、「功績等の抽象的主観的なものを基準とすると、結果として、フリーハンドの裁量権を与えることになり、不適当であり、基準は客観的なものであるべきである。」と述べています。

平成25年6月議会の一般質問で、私が中司市政12年について、財政上の効果額や市政に対する貢献度合いをお尋ねしました。その時の答弁は、平成11年度の実質収支の赤字額の約30億円を、一連の行政改革の取り組みより、平成14年度以降、実質収支の黒字化を維持しているという内容でした。こういった数値に基づいた功績の評価は「抽象的主観的」なのか、お聞きします。

答弁(10回目) 総務部長
お示しのような数値の大小や比較によるものについては、客観的なものではありますが、その数値を評価し返納を求めるにあたっては、主観的な要素になるものとして、審査会の判断として裁量権の検討からは外されたものです。


質問(10回目―2)
客観的な数値の判断をするにあたって主観的要素が入るのは、ある意味、当然のことです。では、裁量の基準が何であるのかを判断すること自体も、やはり主観的な要素が入り込むのではないでしょうか。
例えば、退職手当審査会の委員を別の人に代えて審査すれば、「功績の評価」を客観的基準として採用することも十分考えられるわけです。これについてはどのようにお考えでしょうか。

答弁(10回目―2) (総務部長)
審査会における審査につきましては、様々な立場からの委員による議論が交わされ、結果として客観性のある基準が採用されたものと考えます。


質問(11回目)
 おっしゃっている意味がわかりません。評価する以上、評価者の主観が入ることは当然のことではないですか。市は選任された審査委員の、正にその主観に期待して人選をされたのではないですか。
審査会委員5名の内、市と利害関係がある者が3名、協働関係者が1名もおられる。

答申書を見る限り、審査会の議論には、議会での前市長に対する評価等、こうした議論の内容が反映されておらず、また、少なからず誤解が生じているのではないかと感じます。もし、誤解があるのなら、誤解に基づいた答申は問題があると言わざるを得ません。

(意見)
時間ですので最後に意見としておきます。

質疑は最後まですれ違いのようで納得できませんでした。
この異例の事件を裁判結果だけで判断するから偏った答弁、判断になるのではないかと感じます。

平成19年の第3回公判において、当時、関西ゼネコン業界において「業界のドン」と揶揄されていた大林組の山本正明さんという方がおられます。この方は談合したことを認め有罪となっています。

彼の証言では、「「天の声」とは受注競争で劣勢に立ったところが、市長に働きかけて業界調整の段階で「ここへ仕事を出してやってくれ」と優勢な会社に働きかけ、引き下がってもらうということであり、この談合事件ではすでに大林組が隣地を確保しており天の声もへちまもない」と証言されています。

早い話、「メトロ会談」や「天の声」に関係なく大林組が受注出来るよう業界調整は終わっていたという証言です。
残念ながらこの重要な証言は検察の描くシナリオから外れる為、証拠採用されませんでした。

執行猶予期間が終了した山本さんは、その後、当時、「検察のあり方検討会議」の委員をされていたジャーナリスト江川紹子さんの取材に答え、平成23年に発行された月刊文藝春秋12月号に掲載されています。
山本さんは「私は引退した身だし、民間同士の談合があったのは事実だから自分のことはいいが、談合にはまったく関係のない中司さんが有罪になっているのはおかしい。当然、無罪になるものと思っていた。面識もなかったし、恩義もなければ恨みもない人だが、あまりに気の毒だ」と。そのあとの記事には具体的な内容が記載されています。

本市が舞台となった希に見る事件でした。裁判の傍聴には市の職員の方も行っておられました。検察に押収されていた書類も戻ってきた今、メモ書きも含め事件の調査を市独自で行ない、改めて「総括」を行い議会に報告すべきではないでしょうか。

それでも退職金の返納を求めるのなら、審査会も委員を入れ替えてやり直すべきですし、正規の条例で対処すべきです。条例が「できる」規定であるように部分返納も検討すべきです。
事件を政争の具にすることなく、キッチリした総括を市民に伝えましょう。市長!!

以上を申し上げ、
現時点では、前市長に退職金の返納を求めることには無理があると申し上げ終わります。