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※わかりやすくを心がけた賛成討論となりました。ひらかた市民会議の基本的な考え方でもあります。


平成16年度決算賛成討論  05.10.14 決算最終日

ひらかた市民会議を代表して平成16年度大阪府枚方市一般会計及び各特別会計、企業会計の歳入歳出決算の認定に対する討論を行ないます。

基礎的歳入である市税収入が7年連続で減収となる中、普通会計決算では実質収支が3年連続の黒字となり、単年度収支では5年連続の黒字を計上された事は一見、行財政改革効果が上がってきているように見えますが仔細に検討しますと行財政改革による歳出減が歳入減に追いついてない実態が明らかになります。

自治体には地方自治法208条の2項により収支均衡を義務付けられているため、民間ではおなじみの赤字予算や赤字決算というものが存在しません。もし自治体が赤字決算をしなければならないときは地方自治法243条の5項により、繰り上げ充用による赤字補填をしますが実質では民間で言う赤字である事に変わりありません。自治体の財政はシステム上、民間と同じように見ることが出来ないわけです。
そこで民間とは異なるシステムを持つ自治体の財政内容を見る方法として、分類としての「類似団体」という「指標」があります。枚方市は市の規模や市の性質から「
特例市のV―5」という類似団体に分けられますが時間の関係でその比較はいたしません。そこで簡単に財政状況が把握できる一般的な指標を見ていきます。

自治体財政の弾力性を示す指標である
経常収支比率を過去5年にわたって見てみますと平成12年度91.2%、13年度90.7%、14年度92.6%、15年度90.5%、そして16年度92.1%となります。数値そのものは悪いながらも何とか悪化を免れているように見えます。
しかし、この数値には臨時的な赤字地方債である「臨時財政対策債」と「減税補てん債」が含まれておりますので実際の経常収支比率を出すにはこの二つを差し引かなければなりません。
そうしますと実質経常収支比率は12年度92.2%、13年度93.8%、14年度98.3%、15年度99.9%、そして16年度99.7%となります。先ほど申し上げた一見悪いなりにも安定しているかに見えた数字は赤字地方債によるものであることが明らかとなります。
臨時財政対策債と減税補てん債は、後年度に計算式によりある程度の交付税措置がなされるものの交付税そのものが三位一体の改革の中で間違いなく確実に縮小方向である事を考えると安易な起債は将来禍根を残す事になりかねません。

また16年度決算における一般財源総額に対する公債費の割合である
公債費負担比率15パーセントと警戒ラインに達しています。公債を減ずる減債基金の積立額は30億円程度残されていますが、ピーク時の48億円から大きく減少している状態であります。

また基準財政収入額を基準財政需要額で除した指標である
財政力指数は0,835とこれも年々悪化しています。財政力指数は数値が高いほど財政力があるとされ、1を超えると地方交付税の不交付団体となり、1を下回ると交付団体となりますが平成16年度不交付団体は全国で133団体あります。枚方市は平成4年度以降、単年度の財政力指数が1を下回り続けています。

このように簡単に財政を見ても危機的状況はより深刻化しています。その中でも臨時財政対策債は16年度末で158億4470万円と巨額な金額となっています。赤字地方債で穴埋めした事による単なる黒字は後の起債を容易にするための見かけだけの黒字化であり評価できないと指摘をしておきます。

抜本的な改革には削減が比較的容易な投資的経費以上に、任意に削減できない義務的経費である人件費、扶助費、公債費の縮減しかありません。とりわけ緊急かつ大胆に改革が必要なのは市民レベル以上の人件費につきます。

人件費総体については、2007年問題以後、本市の主要な財源である市民税が激減してまいります。そこで、たとえば人件費を自主財源の40パーセント以下にするとか、税収に対して45パーセント以下にするなど、その自治体の実情にあった独自のルールや数値目標が必要な時期であります。

人件費削減には職員数を減らすか、給与を減らすか、又は双方減らす方法があります。市長これまで取ってこられた方法は主に退職者不補充を基本とし、足らずは非常勤や臨時職員でしのいでこられました。これは現在行われている緩やかな行財政改革と赤字地方債によるソフトランディングとしてはある程度有効でありましたが、先の急速な財政悪化の度合いを見ますと市長のソフトランディング手法では近い将来、多くの市民と、とりわけ若年者に負担のしわ寄せが来る事は必定であります。早急にハードランディング手法に切り替えられる必要があることを指摘いたします。

また、質疑の中で同年齢の課長と一般職員の年収がほぼ同じという枚方市の実態があきらかになりました。給与は職責、職能に応じて分配されなければならないはずです。これは永年の終身雇用・年功序列の給与制度、即ち職員に対する税の分配に問題があり、民間では考えられない事態にいたっております。ご答弁では査定昇給制度や勤務実績、勤勉手当の反映などを平成18年度より順次見直し、メリハリのある給与体系を検討との事でした。管理職になるか特別の才能がない限り年収を市民の実勢年収を超えないようにするなど、やる気のない職員が驚愕するような給与体系を望みます。驚愕するような状況に追い込まない限り根本的な意識改革など進まないでしょう。それでもやる気のない職員には分限処分や懲戒処分の執行をしていただきたい。やる気のない職員には厳しい世間に比べ身分保障があるだけでもありがたく思って納税者に感謝していただきたい。そうでなければ納税者は報われません。いま多くの納税者や有権者の眼はそこにあると指摘しておきます。

次に退職金の問題です。優秀な職員にもやる気のない職員にも今はルールに従い規定どおり退職金は支払って行かねばなりません。しかし、退職手当基金は16年度末で約14億円しかありません。どのようにされようとお考えなのか良くわかりません。この問題こそ早くから予測のつく問題です。定年退職者には一人平均2500万円の退職金が支払われます。平成16年では64名の退職者がありました。17年では約50名、18年では約120名、19年では約170名が退職予定されています。これからの3年間だけで約340名で退職金総額は85億円です。新しい庁舎が建てられる金額です。2007年問題を間近に控え退職金に対する取り組みが不十分と指摘をし、安易な起債は慎み、将来の納税者に負担を先送ることなく知恵と工夫で対処していただきたいと要望します。

次に現在の勤務時間を7時間45分から8時間に戻すことについて質問を行ないました。わずか勤務時間にして15分ではありますが職員数2500名で換算するとその額が年間約6億円に相当している実態を考えると市民サービス向上のためにも早急に法定時間に戻すべきであると指摘しておきます。

次に質疑の中で堀井委員から定年退職日について質問がありました。直接16年度決算に関わる事ではありませんが、ご答弁では18年度より3月と9月の半期ごとに定年退職日を設ける半期退職制度を設けるとの事でしたが、やはり多くの民間と同様に誕生月又は誕生日退職制度がより良い制度であると指摘しておきます。

次に自販機設置に関して資料請求しておきながら時間の関係で質疑が出来ませんでした。行政財産の目的外使用許可については公平性、透明性を図る観点から本来の所管の管財課に一本化し、自販機については公募を行い、収益は原則として役所の一般会計に繰り入れるなど改善を図っていただくよう要望します。

次に、先日、1440事業に亘る「平成16年度実績の事務事業評価 実績報告」をいただきました。ここでは詳細は述べませんが、まだまだ不必要と判断できる事業が多くあることに驚きました。
行政の基本的任務としての福祉、教育、環境、防災、基盤整備、法定受託事務などに集中し、特定の市民だけが喜んでいるような事業は一括整理するなど抜本的な事業の再構築を求めます。

最後に市民病院事業会計について申し上げます。
平成14年度決算における私どもの討論の中で廃止を打ち出すべきとの意見を申し上げました。
16年度会計においても業績は好転するどころか悪化しております。また、11日の新聞報道によりますと来年1月開院される関西医科大付属枚方病院が平成19年度には府下11番目の救命救急センターとなる事が固まったとありました。市民にとりましては大きな安心につながる事ですが市民病院の経営には大きな不安となります。先ほど財政で指摘をさせていただいた事は市民病院にも同じでありますので、改めて17年度決算まで事の推移を注目していきたいと思います。

以上の事を特に指摘させていただきます。今回、質疑の中で指摘をさせていただいた事以外にも問題は山積していますが、早期に改善を図っていただき、全職員が一丸となって市長の掲げられている「小さくても仕事が出来る役所」「民間に出来る事は民間に」「市政の構造改革」の実現に邁進していただき、情報公開度と財政力NO1を目指していただくよう要望し、平成18年度予算に反映される事を期待し、認定に賛成する事を申し上げ、討論といたします。





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