高橋しんすけ議員報告 HOMEデータバンク06年12月議会質疑

議案第44号の前の専決事項の報告については、行政車両の交通事故が多発している実態が報告されました。この件については、倫理的な指導から技術的な対策としてドライブ・レコーダー導入の提案をいたしました。



議案第44号 一般会計補正予算(第4号) 06年12月8日

税制改正による高齢者の負担増に対する支援策に関して



1回目質疑

議案第44号平成18年度一般会計補正予算(第4号)議案書109ページの上水道費の補助金229万9千円が計上されていますが、先日、行われました建設委員協議会で私の質疑は終えておりますので、ここでは取りまとめをされた行革部に何点かお尋ねいたします。

本日、会議の冒頭、市長のあいさつにも税制改正による高齢者の負担増に対する負担軽減についてのお話がありましたが、過日、総務委員協議会において、福祉減免制度等の検討について「税制改正による高齢者の負担増に対する支援策」として説明をされ、この支援策が年間約5,300万円、12月補正で約500万円ということでした。冒頭の水道費補助金229万9千円は上水道部分の基本料免除額として減免に必要な経費との事ですが、ここで疑問に感じるところを総括的に質問させていただきます。

まず1点目ですが、今回この平成16年度から18年度にかけての税制改正により高齢者の負担が増加したため、その支援策を検討されたということですが、そもそもこの一連の税制改正は「高齢者の担税力に応じた負担を求め世代間の公平を図ること」を目的に、国の構造改革の一環として実施されたもので、高齢化社会に入った今、若い勤労者世代の給与水準は低い状況にあり、年金収入がその水準よりも高い高齢者が大勢おられ、税制度ではその高齢者に、老齢者控除・公的年金等控除・非課税措置といったいろいろな優遇措置をとっているということで見直しされたのです。

それなのに、なぜ、この税制改正で非課税から課税となった高齢者の方々に本市が支援策を講じなければならないのか、それも高齢者施策を担当する健康部ではなく行政改革部が担当して、水道料金・下水道使用料の基本料10割減免という形で行うのか理解できません。理由を伺います。

2点目は、水道料金・下水道使用料の減免を活用しての支援のために、収入要件と資産要件の緩和をするということですが、収入要件を150万円とか、期間限定で266万円とかにするというのはそれなりに理解もしますが、資産要件の預貯金の額を350万円から700万円にするということは全く理解できません。そんなに預貯金がある人に月1,527円、年間約18,000円を支援する必要はないのではないかと思います。その根拠を伺いたい。
以上、2点についてお尋ねいたします。



【答 弁】
1点目の、なぜ税制改正で非課税から課税となった高齢者の方々に、本市が支援策を講じなければならないのかなどについてお答えいたします。
平成16年度から平成18年度にかけての税制改正・地方税制改正による高齢者の負担は、一定の経過措置があるとは言うものの、平成18年度の住民税で非常に大きくなったということで、多くの市民から切実な訴えが窓口に寄せられたため、市としてどのようなことができるか検討したものでございます。
行政改革部は行政改革・構造改革を所管する部署として、本市が施策として各制度において実施している福祉減免制度について、それが施策として納税者である市民にとって、公平性、妥当性があるかという観点からチェックし、それぞれの制度の担当部署と調整を行い、改革を図っていくことも担任事務の一つでございます。
そうしたことから、今回の各々の制度間での不整合とあわせて、税制改正による福祉減免制度への影響はどのようなものであるか、大きく制度の役割とかけ離れたものとなっていないかなどを検証し、その上でさらに、現行制度を変更する制度のところで、効率的・効果的に、税制改正により非課税から課税となって負担が大きく増えた高齢者に生活支援・経済的支援することの可能性を検討したものでございます。
加えまして、そうした高齢者の生活支援・経済的支援の実施を、福祉減免制度においてだけで行うことには限界がある上に、それぞれの所管での個別の検討ではなく、福祉減免制度の活用とあわせて、総合的に検討する必要があると考え、行政改革部が検討会議の事務局となって検討したものでございます。
また、水道料金・下水道使用料の減免の活用については、水道料金・下水道使用料が光熱水費という市民の日常生活費であり、高齢者の生活費の負担軽減として有効であると考えたものでございます。

次に2点目、水道料金・下水道使用料減免の資産要件である預貯金の額を350万円以下から700万円以下にする根拠についてお答えします。
現行の下水道使用料の減免実績や、税制改正により負担増となった高齢者世帯数等を考慮すると、収入要件の緩和だけでは減免対象となる世帯が少ないと見込まれたため、対象世帯を広げるために700万円以下へと期間限定で要件を緩和したものでございます。貯蓄に関する本市の市民や高齢者のデータはありませんが、預貯金700万円以下の要件については、全国消費実態調査における貯蓄額ごとの世帯割合で、現金性預貯金700万円以下の世帯比率が高齢者の約半数を占めています。また総務省の家計調査年報では、勤労者世帯の平均貯蓄額が約700万円であることから、現在の預貯金水準の倍となる700万円を限度としたものでございます。



2回目質疑

 1点目の質問に対する答弁については、行政側の理屈として、ある程度わかったような、わからないようなご答弁をいただきました。検討に携わった職員の方々は非常にご苦労されたのではないかと察します。

国が、これから益々進む高齢化社会に対応できるように、敢えてこの高齢者に負担が大きくなる税制改正を断行したのであり、そのことに対する市民の苦情を、自らも構造改革を推進している市が受けなければならないという矛盾を感じられたのではないかと思います。

来年度は三位一体改革に伴う所得税から住民税への税源移譲で、さらに住民税の負担は大きくなりますが、今回の上下水道料金・基本料10割減免のような安易な支援策をとらずに、市民の方々にしっかりと税制改正の趣旨の説明をしてご理解をいただく努力を強くお願いします。
私は、当然の事ながら国の与党系の議員でも何でもありませんが、世代間格差是正のためにも、選挙前で辛いところはありますが市民の方々に説得を続けておりました。

今回の支援策につきましては、市民の方から「選挙前のバラマキパフォーマンスではないか」と、ご指摘されても今のご答弁では私は自信を持っての反論はできません。
選挙前の署名運動のようなもので、志とは別に誤解を与えやすいものでございます。

2点目についてですが、私は、資産要件を安易に緩和する必要はなかったのではないかと思っています。
現金性預貯金以外にも株・国債などの証券、はたまたタンス預金や自家用自動車などの資産、申請者の家族を含む関係者の資産など、いろいろとお持ちの方々はたくさん居られる。本当に困っている人を、公平性をもって支援しようとするなら、そこまで徹底して調査しなければならないと考えますが、国民総背番号制になっていないわが国では行政がそういう資産まで捕捉することは非常に難しいことだと考えます。
議案第44号は補正予算の一部ですから、これだけを取り上げて反対はいたしませんが、以上、述べさせていただいたことは意見として申上げておきます。

今回実施されるそれぞれの支援策(負担軽減策)は、平成20年度までの期間限定ということですが、これは絶対に守っていただき、だらだらと継続しないように強くお願いしておきます。



HOMEデータバンク06年12月本会議質疑